Physics Lab. 2018 ブログ

Physics Lab. 2018 ブログ

東京大学理学部物理学科有志による、第91回五月祭企画「Physics Lab. 2018」の公式ブログです。各班が扱うテーマの説明や、準備の様子をお届けします。

重力波のおはなし

 こんばんは、Physics Lab. 2018 宇宙班の平井です。班長とかそんな大層なことやってるわけじゃないんですが、今回記事を書かせてもらっています。

 さて、前回の記事では班長が「ブラックホールの作り方」を教えてくれました!みなさん、やってみましたか?お家でもお手軽にできるので是非やってみてくださいね

physlab2018.hatenablog.com

「宇宙と言えばブラックホール!」!ってなるくらい、ブラックホールは不思議で魅力的で、花形的存在です。それと並んでもう一つ、最近話題になった宇宙に関する発見があったのを皆さんはご存知でしょうか?2016年2月に発表された重力波の直接検出です。2017年のノーベル物理学賞はこの研究に関わった3名に与えられました。

そもそも重力波って何?

 一般相対性理論では、時空が物質の存在によって歪む、とされています。ゴム膜の上にボールを置くとゴム膜が伸びて、時空が歪んでいるように見える、という説明を聞いたことがある人も多いかもしれませんf:id:physlab2018:20180517201139p:plain

(画像はhttp://granite.phys.s.u-tokyo.ac.jp/ja/?GWHistoryより引用)

 ここまでは物体が動かない、静的なイメージです。今度は物体をゴム膜上で動かしてみましょう。ゴム膜のたわみ方が波となって伝わっていくような気がしませんか?大雑把に言ってしまえばこれが重力波です。天体などの重力源が運動することによって、時空の歪みが波となって伝わっていく現象です。あまりピンとこない人はこちらの動画を見てもらえば何となくイメージできると思います。2つのブラックホールがお互いの周りをまわって、その過程で波を放出している様子が描かれています。

検出の何がすごいの?

 重力波という現象はアインシュタイン一般相対性理論を作ってからわずか2年で予言されましたが、検出するのに実に100年ほどの時間がかかりました。一体何が重力波の検出を難しくしていたのでしょうか?

 正解は「重力波がとても小さい」ということです。今回検出された重力波は太陽の質量の30倍程度のブラックホールが2つ合体したときに生じたものですが、それでも重力波の振れ幅は10の-21乗(0.000000000000000000001)程度。太陽から地球までの距離が、水素原子1個分だけ変わるくらいの振動です。そんな振動をどんな装置で観測するのか、そこにはどのような工夫があるのか、データからどうやって重力波であると読み取るのか、気になりませんか?

…というわけで続きはPhysics Lab. 2018にてご説明いたしますので、ぜひ足を運んでください!実際に重力波観測に使われた装置のミニチュア版も作ったし、装置を動かしながらの説明もできるかと思います!

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 それではみなさん、さようなら!Physics Lab. 2018でまた会いましょう!

 

ひまわりとフィボナッチと磁性流体と

 こんにちは。生物物理班の曽根です。

3回連続で生物物理班の記事となってしまいましたが、他の班もちゃんと活動している(と聞いている)ので安心してください。

 

さて、前回は魚の模様について書きましたので、今回は生物物理班のもう1つのテーマ「ひまわりの模様の再現」について書こうと思います。

 

突然ですが、あなたはひまわりの絵を描いたことはありますか?ちなみに、私がひまわりの絵を描くとこんな感じになります。

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うーん、お世辞にも上手いとは言えない……。まあそれは置いといて、今回注目してほしいのは真ん中の種の部分です。よく絵では適当に網目とかを描かれてしまうひまわりの種の部分ですが、あなたは実際の種の並びを見たことがあるでしょうか?実は、この種の並びに不思議な性質が隠されていると言われたらどうでしょうか?下の図を見てください。

f:id:physlab2018:20180516221253j:plain *1

線で表されているように、種の並びをよーく見てみると、いくつかの螺旋(らせん)上に種が並んでいます。一見適当に並んでいるように見える種も、実はきちんと並んでいたのですね。

今度はその螺旋の数を数えてみましょう。上の図では右巻きの螺旋が34個、左巻きの螺旋が55個あります。実はこの数はフィボナッチ数列と呼ばれる数列に現れる数となるのです。

 

フィボナッチ数列とは
1,1,2,3,5,8,13,21,34,55,89,……
と続くもので、1+1=2,1+2=3,2+3=5,3+5=8,……とそれぞれの数は前の2つの数を足したものになるように作られます。

上で確かめた、螺旋の数は34個と55個だったので、フィボナッチ数列で並んで出てくる数になっています。そして、他のひまわりでもやはり螺旋の数はフィボナッチ数列に出てくる数となるのです。

 

では、なぜそのような人工的に作られたように見えるフィボナッチ数列が、ひまわりという自然のものに現れるのでしょうか。その謎に迫るため、私達は磁性流体という物質を使って模様の再現を試みています。

f:id:physlab2018:20180516221457j:plain *2

磁性流体とはざっくり言うと磁石の粉が水などに溶けたようなものです。砂場とかで磁石を近づけるとくっついてくる砂鉄の液体バージョンとも言えるでしょう。テレビなどで磁石を近づけると上のようなとげとげした形ができるのを見たことがある人もいるかもしれませんね。

この磁性流体に磁力をかけて、台に液滴を垂らしていくと、あら不思議、ひまわりの種のような螺旋とフィボナッチ数列が隠されたパターンが浮かび上がってくる(はずな)のです。(しかし残念ながら、まだ私達の手で上手く再現することができていません。五月祭当日まで残りわずか。試行錯誤を繰り返しながら、きちんと再現するところまで到達できるか、乞うご期待!?)

 

ここで、読者の皆様の頭の中では、ひまわりとは似ても似つかない磁性流体でなぜ同じような模様ができるのか、と?マークが浮かんでいることでしょう。

実は、ひまわりの種と今回の実験での磁性流体はある共通のルールに従って配置されるのです。そのルールとは・・・・・・・・・・・・・・・と今日はここまで。共通のルールとは何かが知りたい方、実際の実験の様子を見たい方は、五月祭当日に当展示Physics Lab. 2018 に来て、その目で耳でお確かめください。

 

 

(余談)
実は、その「共通のルール」によって、葉の付き方や松ぼっくりの模様などひまわりの種以外のパターンも説明できてしまうのです。このように、1つの考え方で一見異なる様々なものが説明できてしまうというのが、物理の面白さの1つと言えるかもしれません。

 

 

*1:引用元 ネイチャーテック研究所のすごい!自然のショールーム http://nature-sr.com/index.php?Page=11&Item=88

*2:引用元 シグマハイケミカル 

http://www.sigma-hc.co.jp/

魚の模様を変えてみよう!

お久しぶりです。生物物理班として活動させてもらってます、太田です。

実験の進捗の悪さに大変長らく更新を滞ってしまいました。すみません。

 

前回の記事で僕らの班では「ひまわりの模様の再現」「魚の模様の移動の予言は正しいか」という二つのテーマで活動しているということを書きました。今回はそのうちの一つ「魚の模様の移動の予言は正しいか」の方のテーマについて解説したいと思います!

 

この実験はすでに行われている実験で、“Pattern regulation in the stripe of zebrafish suggests”という論文に書かれています。僕たちはこの論文の再現実験をしようということでやっています。

まず魚の模様の移動の予言って何?って感じだと思うのでそこのところを。

 

今回飼育している魚はゼブラフィッシュという魚です。(下の写真)

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シマシマ模様の小さな魚です。このシマシマ模様ができる仕組み、実は解明されているんです!

 

生物の模様は化学物質である色素の広がり方、濃淡によって決まっています。イメージとしては水にインクを垂らした時、水の中に広がろうとするインクが途中で止まっている感じです!インクの場合は時間がたつと水全体に広がってしまいますが、これは「拡散」というルールしか働いていないからで、もし仮に2種類のインクの間に「相互作用」というもう一つのルールが加わるとそのインクたちは濃淡がそのままのこったまま止まって安定した状態が実現されます。

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「拡散」は広がることでイメージがつきやすいと思います。「相互作用」は二つのものがお互いに影響を及ぼし合うことですね。例えば、人間二人の間の恋愛という「相互作用」を考えて、二人とも相手が自分のことが好きなら自分も相手を好きになるというタイプだったらお互い果てしなく好きな気持ちが高まっていってハッピー的な感じです。(笑)

色素の間にはもう少し複雑な「相互作用」が働いていて、そのルールによって(いろんな恋愛模様があるように)いろんな模様ができるというわけです。これほんとです。

 

「拡散」と「相互作用」のルールでできる模様はチューリングパターンと呼ばれており、ゼブラフィッシュのシマシマも「拡散」とそのシマシマを作っている色素の間の「相互作用」を取り入れて数式を立ててやると、見事に再現できちゃうんですね。

 

でも、それでシマシマができたからといって、それは似てるだけかもしれません。そこで、模様の動きまで再現できるかを見てみて、シマシマがその数式通りに動いていることの証拠にしてやろうということなんですね。

 

予想はこんな感じです。(コンピュータシミュレーションの結果を論文より引用)

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↑模様を一部消すと…

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↑盛り上がってくる!!

 

では実際の魚でどうするかですが、模様を焼いちゃいます!模様を焼いたゼブラフィッシュはこちらです。

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後ろの方の模様が少しなくなっているのが分かるでしょうか?これは4月末に撮影したものです。実験結果はぜひ当日ご覧いただけると幸いです!

 

長くなりました。最後まで読んでくれた方ありがとうございました。

模様の不思議

はじめまして。生物物理班として活動しています、太田です。

僕たちの班では生物の模様をテーマに活動しています。

 

物理なのに生物??と思われる方もいるかもしれませんね。物理学が発展してきた今、生物で見られる現象も物理現象としてとらえようと日々研究に励んでいらっしゃる研究者の方たちがたくさんいらっしゃいます。物理では今、生物がアツいんです!

 

一言で生物物理と言っても細胞、神経系、タンパク質類、進化などなど、対象は様々です。この世は生物と無生物しかいないのですから(実際はちょっと微妙な存在もありますが)、生物物理はこの世の半分のことを対象にしていると言っても過言ではないでしょう!(あくまで自論です)

 

そんな中で生物にみられる模様をテーマに活動しておりますのが僕たちです!主にやっているのは、「ひまわりの模様の再現」「魚の模様の移動の予言は正しいか」の二つです。

 

ひまわりの模様を再現している実験装置はこちらです!

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と言ってもこれだけでは何が何だかわからないと思いますので、実験の進捗報告とともにこれから解説していきたいと思います。

 

魚の方も生物の研究室の方におすそ分けしていただきまして、絶賛飼育中です!

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こちらも今後の進捗ともに解説したいと思います!

それではまた!

物理ショーへようこそ

こんにちは。物理ショー班です。

 

僕たちは、物理の楽しさを小学生から大人までみんなにわかってもらえるように、原理的にも見た目的にも面白い実験を考え、5月祭で発表しようとしています。

 

現在は、準備の真っ最中で、いろんな面白いものができつつあります。

例えばこれ↓

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発泡スチロールの容器を組み合わせてひょうたんみたいな形になっています。これはなんだと思いますかー?

正解は、、、

ふふふ。会場にきてからのお楽しみです。

 

ついでに違う実験の一部品をご紹介。

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これは、木材をサイクロイドと呼ばれる形状にカットしたものです。さて、これもどんな実験に使われると思いますかー?

 

正解は、、、

これも会場に来てからのお楽しみです。

 

二つの写真の実験以外にも、面白い実験はたくさんありますので、是非是非見に来てください。待ってます(^^)