Physics Lab. 2018 ブログ

Physics Lab. 2018 ブログ

東京大学理学部物理学科有志による、第91回五月祭企画「Physics Lab. 2018」の公式ブログです。各班が扱うテーマの説明や、準備の様子をお届けします。

魚の模様を変えてみよう!

お久しぶりです。生物物理班として活動させてもらってます、太田です。

実験の進捗の悪さに大変長らく更新を滞ってしまいました。すみません。

 

前回の記事で僕らの班では「ひまわりの模様の再現」「魚の模様の移動の予言は正しいか」という二つのテーマで活動しているということを書きました。今回はそのうちの一つ「魚の模様の移動の予言は正しいか」の方のテーマについて解説したいと思います!

 

この実験はすでに行われている実験で、“Pattern regulation in the stripe of zebrafish suggests”という論文に書かれています。僕たちはこの論文の再現実験をしようということでやっています。

まず魚の模様の移動の予言って何?って感じだと思うのでそこのところを。

 

今回飼育している魚はゼブラフィッシュという魚です。(下の写真)

f:id:physlab2018:20180513221137p:plain

シマシマ模様の小さな魚です。このシマシマ模様ができる仕組み、実は解明されているんです!

 

生物の模様は化学物質である色素の広がり方、濃淡によって決まっています。イメージとしては水にインクを垂らした時、水の中に広がろうとするインクが途中で止まっている感じです!インクの場合は時間がたつと水全体に広がってしまいますが、これは「拡散」というルールしか働いていないからで、もし仮に2種類のインクの間に「相互作用」というもう一つのルールが加わるとそのインクたちは濃淡がそのままのこったまま止まって安定した状態が実現されます。

f:id:physlab2018:20180513225942j:plain

「拡散」は広がることでイメージがつきやすいと思います。「相互作用」は二つのものがお互いに影響を及ぼし合うことですね。例えば、人間二人の間の恋愛という「相互作用」を考えて、二人とも相手が自分のことが好きなら自分も相手を好きになるというタイプだったらお互い果てしなく好きな気持ちが高まっていってハッピー的な感じです。(笑)

色素の間にはもう少し複雑な「相互作用」が働いていて、そのルールによって(いろんな恋愛模様があるように)いろんな模様ができるというわけです。これほんとです。

 

「拡散」と「相互作用」のルールでできる模様はチューリングパターンと呼ばれており、ゼブラフィッシュのシマシマも「拡散」とそのシマシマを作っている色素の間の「相互作用」を取り入れて数式を立ててやると、見事に再現できちゃうんですね。

 

でも、それでシマシマができたからといって、それは似てるだけかもしれません。そこで、模様の動きまで再現できるかを見てみて、シマシマがその数式通りに動いていることの証拠にしてやろうということなんですね。

 

予想はこんな感じです。(コンピュータシミュレーションの結果を論文より引用)

f:id:physlab2018:20180513231348p:plain

↑模様を一部消すと…

f:id:physlab2018:20180513231406p:plain

↑盛り上がってくる!!

 

では実際の魚でどうするかですが、模様を焼いちゃいます!模様を焼いたゼブラフィッシュはこちらです。

f:id:physlab2018:20180513231057j:plain

後ろの方の模様が少しなくなっているのが分かるでしょうか?これは4月末に撮影したものです。実験結果はぜひ当日ご覧いただけると幸いです!

 

長くなりました。最後まで読んでくれた方ありがとうございました。