Physics Lab. 2018 ブログ

Physics Lab. 2018 ブログ

東京大学理学部物理学科有志による、第91回五月祭企画「Physics Lab. 2018」の公式ブログです。各班が扱うテーマの説明や、準備の様子をお届けします。

ひまわりとフィボナッチと磁性流体と

 こんにちは。生物物理班の曽根です。

3回連続で生物物理班の記事となってしまいましたが、他の班もちゃんと活動している(と聞いている)ので安心してください。

 

さて、前回は魚の模様について書きましたので、今回は生物物理班のもう1つのテーマ「ひまわりの模様の再現」について書こうと思います。

 

突然ですが、あなたはひまわりの絵を描いたことはありますか?ちなみに、私がひまわりの絵を描くとこんな感じになります。

f:id:physlab2018:20180516220949j:plain

うーん、お世辞にも上手いとは言えない……。まあそれは置いといて、今回注目してほしいのは真ん中の種の部分です。よく絵では適当に網目とかを描かれてしまうひまわりの種の部分ですが、あなたは実際の種の並びを見たことがあるでしょうか?実は、この種の並びに不思議な性質が隠されていると言われたらどうでしょうか?下の図を見てください。

f:id:physlab2018:20180516221253j:plain *1

線で表されているように、種の並びをよーく見てみると、いくつかの螺旋(らせん)上に種が並んでいます。一見適当に並んでいるように見える種も、実はきちんと並んでいたのですね。

今度はその螺旋の数を数えてみましょう。上の図では右巻きの螺旋が34個、左巻きの螺旋が55個あります。実はこの数はフィボナッチ数列と呼ばれる数列に現れる数となるのです。

 

フィボナッチ数列とは
1,1,2,3,5,8,13,21,34,55,89,……
と続くもので、1+1=2,1+2=3,2+3=5,3+5=8,……とそれぞれの数は前の2つの数を足したものになるように作られます。

上で確かめた、螺旋の数は34個と55個だったので、フィボナッチ数列で並んで出てくる数になっています。そして、他のひまわりでもやはり螺旋の数はフィボナッチ数列に出てくる数となるのです。

 

では、なぜそのような人工的に作られたように見えるフィボナッチ数列が、ひまわりという自然のものに現れるのでしょうか。その謎に迫るため、私達は磁性流体という物質を使って模様の再現を試みています。

f:id:physlab2018:20180516221457j:plain *2

磁性流体とはざっくり言うと磁石の粉が水などに溶けたようなものです。砂場とかで磁石を近づけるとくっついてくる砂鉄の液体バージョンとも言えるでしょう。テレビなどで磁石を近づけると上のようなとげとげした形ができるのを見たことがある人もいるかもしれませんね。

この磁性流体に磁力をかけて、台に液滴を垂らしていくと、あら不思議、ひまわりの種のような螺旋とフィボナッチ数列が隠されたパターンが浮かび上がってくる(はずな)のです。(しかし残念ながら、まだ私達の手で上手く再現することができていません。五月祭当日まで残りわずか。試行錯誤を繰り返しながら、きちんと再現するところまで到達できるか、乞うご期待!?)

 

ここで、読者の皆様の頭の中では、ひまわりとは似ても似つかない磁性流体でなぜ同じような模様ができるのか、と?マークが浮かんでいることでしょう。

実は、ひまわりの種と今回の実験での磁性流体はある共通のルールに従って配置されるのです。そのルールとは・・・・・・・・・・・・・・・と今日はここまで。共通のルールとは何かが知りたい方、実際の実験の様子を見たい方は、五月祭当日に当展示Physics Lab. 2018 に来て、その目で耳でお確かめください。

 

 

(余談)
実は、その「共通のルール」によって、葉の付き方や松ぼっくりの模様などひまわりの種以外のパターンも説明できてしまうのです。このように、1つの考え方で一見異なる様々なものが説明できてしまうというのが、物理の面白さの1つと言えるかもしれません。

 

 

*1:引用元 ネイチャーテック研究所のすごい!自然のショールーム http://nature-sr.com/index.php?Page=11&Item=88

*2:引用元 シグマハイケミカル 

http://www.sigma-hc.co.jp/